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2016年03月23日

フォーラム瓦版第11号 空家や廃校、遊休不動産をどう地域に活かすか

2/27開催のローカル・イノベーターズ・フォーラム2016では、14のテーマに分かれローカル・イノベーション戦略会議を行いました。

ここでは、戦略会議の内容を簡単にまとめた瓦版を順次掲載していきます。

「空家や廃校、遊休不動産を どう地域に活かすか?」

ローカル・イノベーターズ・フォーラム瓦版第11号

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>(クリックでPDFを表示)瓦版第11号「空家や廃校、遊休不動産を どう地域に活かすか?」

登壇者
丹埜倫氏(株式会社R.project代表取締役、千葉県鋸南町)
原大祐氏(NPO法人西湘をあそぶ会代表、神奈川県大磯町)
渡邊享子氏(合同会社巻組代表社員、宮城県石巻市)

ファシリテーター
深尾昌峰氏(株式会社PLUS SOCIAL代表取締役、京都府)

 

プレゼンテーション概要

丹埜:地方で使われなくなった施設を使って、地域外から人を呼び込む取り組みを展開。東京の近くで事業をやりたくて独立。地方のハコモノがもったいないと考え、「合宿ビジネス」にチャレンジ。たとえば千葉市のキャンプ場やユースホステルを改装。地域と共同でスポーツイベントなども開催。合宿の宿泊者数が日本で5番手くらいまで増えている。また「バジェットトラベル事業」では、旅の計画が固まっていない、日本のニッチな魅力に好奇心を持つバックパッカーを相手に、トラベル事業を都心から地域へと広げていっている。まちのポテンシャルを、固定観念なく活動にふさわしい場所を、と顧客視点で見ている。

原:大磯町も高齢化している。遊休施設が多くある。大磯農園では「おいしく楽しい週末」を合い言葉に、年間50 程度のプログラムを展開。農地をみんなで再生している。たとえばヤマダニシキを育て、自力で酒を造っている。ミカン畑でミカンをつくり、さらに「ミカンエール」というビールを製造している。イノシシが増えたので、その肉に生ハムを製造している。港では、大磯で上がった魚を食べられる漁港直営食堂をつくり、年間4万人を動員。空き家や空き店舗でカフェやパウンドケーキ屋、セレクトショップなどを運営。そのまち固有の暮らしが「かっこいい」、「豊かだ」、「イケてる」ということが大事だと思う。

渡邊:震災当時は大学院生だったが、ボランティアとして石巻へ。震災の影響で空き物件や家屋が傷ついていて、ボランティアなどよそ者が泊まるところがなかった。支援が長期化し、ボランティアの住むところがないことが大問題に。地域にインパクトを与える人材を育成するためのシェアハウスを提供した。シェアハウスの事例が見えてくると若者が動き出す。若い人がやることは応援しますよ、という業者も増えた。とても感じることは、空き家はあっても使える賃貸住宅はないこと。それらを使える人をいかに育てるか。使う人が育っていかないと不動産、空き家の問題は解決しない。人がつながることで人が成長するまちをつくっていきたい。

 

ディスカッションより

・過疎の村は賃貸を前提としていないため、貸したことないからやらない、というオーナーが圧倒的に多い。オーナーさんのリスクを抑えること。借り手がついてくるとオーナーさんもやる気に。今は変化期ではないか。(渡邊)

・課題の根底にあるのは地域の経済が成り立っていないこと、公共サービスが成り立たないことなど。地元の経済に貢献することができれば、自ずと課題が解決できると思っている。(丹埜)

・お客さんが合宿地をどう選んでいるかを把握し、そのニーズに合わせた出店をしている新規事業者は我々以外にいない。(丹埜)

・使っている人たちや、その人のライフスタイルの魅力を打ち出していくこと。使っている人たちが付加価値を生み出していくのではな
いか。(渡邊)

・なくなりそうなものをセーブし、ないものを作る。(原)

・地方の不動産事業では、使えば動くのに動いていない。実態に合わない家賃が設定されて、動かないケースが多い。(渡邊)

・3人の活動はパラダイムシフトを実現している。地方にとってもいいモデルが作られている。「素人だからできる」ということが大事。専門家には見えないものなのではないか。(深尾)

・人口減少・消滅都市という価値基準ではあきらめても、素人的だが斬新なアイディアによって、価値創造のポテンシャルがあるのではないか。(深尾)

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