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2016年03月23日

フォーラム瓦版第8号 データに基づく、地域ビジョンづくり 町の課題を可視化し、変革のドライブを創る方法

2/27開催のローカル・イノベーターズ・フォーラム2016では、14のテーマに分かれローカル・イノベーション戦略会議を行いました。

ここでは、戦略会議の内容を簡単にまとめた瓦版を順次掲載していきます。

データに基づく、地域ビジョンづくり 町の課題を可視化し、変革のドライブを創る方法

ローカル・イノベーターズ・フォーラム瓦版第8号

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>(クリックでPDFを表示)瓦版第8号「データに基づく、地域ビジョンづくり 町の課題を可視化し、変革のドライブを創る方法」

登壇者
アリソン・プライヤー氏(ザ・データ・センター代表兼主席人口統計学者、米国ニューオリンズ)
小松洋介氏(NPO法人アスヘノキボウ代表理事、宮城県女川町)

ファシリテーター
船木成記氏(尼崎市顧問、兵庫県尼崎市)

 

プレゼンテーション概要

プライヤー:全米35 のデータセンターの一つ、ニューオリンズの代表として地域の発展にデータをどう活かすか研究してきた。2005 年のハリケーン・カトリーナで町の8割が水没。当初は浸水エリアや行方不明者検索等、問合せが殺到。散乱するデータ整理に追われた。被災後は従来の方法ではデータが収集しきれず、郵便配達員と連携しデータを集めた。5年目には「町としての強さ」を測る目的に調査対象が変化。社会基盤、経済力、住民のスキル、教育、町に対する思いや拘りの強さが復興や課題解決の力となった。カトリーナから10 年。完全な復興には遠いが、被災前よりも良い町になっている。未来へのビジョンづくりや復興の歩みにデータが貢献したことを伝えたい。

小松:Japan Society、ETIC. のプログラムでニューオリンズ訪問した際に目にしたデータブックに感銘を受け、彼らの協力で女川を得て女川でも導入。まちづくりに携わる人が使えるデータが必要だった。「まちの噂話に耳を傾けろ」というアドバイスが印象的だった。様々な業界の人に話を聞き、人、お金、仕事、暮らしのデータを作成。何となく分かっていたことをデータで示すとインパクトがあり、人々のアクションも変わった。議会でも使われ、民間も自分たちの事業を復活させるのにこのデータを活用。今は第2段階としてシミュレーションにも取り組む。データを基にフューチャーセンターで議論し、出たアイディアをプロジェクトとすることで、データはより価値を持つ。

ディスカッションより

・普段、我々は数字をどのように見ているか。ネット上のデータを鵜呑みにしてないか? データを見る目を養うことも、ポイント。(船木)

・カトリーナ後、たくさんの人が町を出たが、逆にチャンスを見つけて起業しようと入ってくる人もいる。データの力は大きく、行政や金融機関が有効性やまちの魅力を広め、事業の実現性や資金調達含め支援にも協力してくれ、よいサイクルとなっている。(プライヤー)

・データがアクションに結び付くことで、災害からの復興に弾みがつくことを我々も経験してきた。(プライヤー)

・データを見て、実際に「やらなきゃ」と思う人は、日常的に課題意識のある人。ただ、まちの将来を不安に思っている人たちは、ショックを受けることもあると思う。ただ、課題提起のツールとしてのデータであり、作ってなんぼより、使ってなんぼ。(小松)

・ヒアリングを基に一度データを作り、それを見せ更にこぼれ話をもらいデータブックにしている。どこまで書くか議論の余地もあるが、どうすべきか、という解釈は一切入れず、実際に起こっている事実だけ載せ、そこからの答えは住民に考えてもらうようにした。(小松)

・信頼性については、裏付けのソースがあるデータベースを利用し、中立性・透明性を保っている。データ分析の結果の透明性には自信があるが、その伝達方法にも十分な注意を払い、GIS など、地図上で地域格差などデータを可視化するために使っている。(プライヤー)

・女川は町の7割が壊滅していることもあり、free wifi や GPS を使って、人の流れをデータとして見えるようにしていきたい。(小松)

・ここで皆さんとお話しできたことを誇りに思う。特に、小松さんたちがいかにデータの力を引き出してまちの復興につながっているかを知ることができてとても嬉しい。私たちのやっていることが少しでも被災地の方々の役に立つことを祈る。(プライヤー)

・アリソンと出会ってデータの考え方変わった。まちの人のアクションを起こすためのデータ、というのがアリソンの活動なのだと知った意味は大きかった。データを示して共通認識をつくることが大事。みんなでデータを作り、それを使ってコミュニティーの中で議論し、そこからのアクションをやりきることで、初めてデータの価値が出る。(小松)

・データブックは「先ずは行政がつくっていないと」と思う。問いをたてる力、それに応える力、それを自分事にする力も必要。自分たちで考えて初めて、パートナーシップや協働がうまれ、セクターを超えた共通認識や歩き出す力が生まれるのだろう。(船木)

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