2/27開催のローカル・イノベーターズ・フォーラム2016では、14のテーマに分かれローカル・イノベーション戦略会議を行いました。
ここでは、戦略会議の内容を簡単にまとめた瓦版を順次掲載していきます。
企業による地方創生チャレンジ〜なぜいま、トライセクターリーダーが必要か
ローカル・イノベーターズ・フォーラム瓦版第7号
>(クリックでPDFを表示)瓦版第7号「企業による地方創生チャレンジ〜なぜいま、トライセクターリーダーが必要か」
登壇者
押田一秀氏(復興支援センターMIRAI代表、福島県南相馬市)
佐藤功行氏(ロート製薬株式会社広報・CSV推進部東北地域連携室室長)
陣内一樹氏(日本電気株式会社テレコムキャリア企画本部、東京都)
石井重成氏(釜石市まち・ひと・しごと創生室室長、岩手県釜石市)
山本圭一氏(株式会社NTTドコモ東北復興新生支援室、東京都)
小沼大地氏(NPO法人クロスフィールズ代表理事、東京都)
戸塚絵梨子氏(株式会社パソナ東北創生代表取締役、岩手県釜石市)
ファシリテーター
北島大器氏(株式会社ラーニング・イニシアティブ代表取締役、東京都)
プレゼンテーション概要
押田:地域側も課題の整理をしていかなければいけないし、企業側もできていないことが多い。今も地域に関われている企業は、試行錯誤を重ねながら変化できている企業。地域と企業の関係づくりには、課題整理のためにまず人を地域へ送り込むことから始めればよいのではないか。
佐藤:行政だけでは手が届かないことを民間がやろうと考えていた。(公財)みちのく未来基金がその一例。ただ行政との連携には地域をよく知るキーマンが必要なので、行政と対話できるNPO がいるエリアにはこだわった。自社商品やサービスを提供することよりも、まずは社員を送り込み、地域が気付かない魅力や課題を掘り起こそうと考えた。
陣内:社内では経理系の部署で法人向けのものが多かったのでエンドユーザーが見えづらかった。一方、地域の町役場は困った住民が相談に来る場所。住民は相談事を解決してくれると期待してくるので、解決せねばという責任を感じながら働いた。その経験は会社に戻ってからはユーザー視点で仕事をするのに役立った。
石井:震災から数年間は、企業から被災地行政に様々な提案をお持ち頂いたが、そのトレンドは変わった。今後は、行政自らがパートナーとしての提供価値を磨いていく必要がある。目の前にある“不都合な現実”を変えるために行動を実践する方々と、セクターを越えてコミュニティを形成していくことが、持続可能な企業連携の手法となる。
山本:現地で活動している農家さんなどに行き、できるだけ現地の方が主体的に動いていいただく関わりを意識した。ほとんどの社員は、地域に入って初めて「人の役に立った」という実感を得られた。活動が長期化すると、社員のモチベーションの維持に苦労した。社員で話し合って「現地の方が笑顔になるお手伝いをしよう」と決めたことで、モチベーションもあがり、人間的にも成長した。
小沼:社会課題解決を担うプレイヤーが変化している。これまでは行政の仕事だと言われてきたが、現在は予算が十分につく時代ではない。市場原理を活かせる領域は企業が、その領域以外をNPO/ NGO が担う。行政、企業、NPO/ NGO が三者で社会課題を協働して解決する時代がきている。
戸塚:地域に入ってからはできないことだらけだった。地域に入って、それまで会社内では課題を乗り越えられるようステップが用意されていたことに気付いた。ある時、できないことを考えるより、自分ができることを探すことの方が大事だと気付いた。自分にとってはブレイクスルーの瞬間だった。
ディスカッションより
・現場での失敗と改善の試行錯誤の結果として生まれた能力がトライセクターリーダーではないか。(北島)
・地域側の努力も必要。自分たちが解決したい課題はこれだと言い切れることが必要。(石井)
・トライセクターリーダーの6つの特徴:(1)理想と実利をともに追及する(2)無関係に見える状況の類似性を見抜く(3)状況判断力に優れている(4)知的生産性を高める(5)セクター横断的な人脈を築く(6)心構えを忘れない(北島)
・企業のキーアクション:(1)中間支援団体と連携した自社らしさを活かす地域貢献(2)社内人材の中長期にわたる現地派遣(3)事業価値創造への活動に向け、活動の意味・意義づけを再定義していけること(北島)