2/27開催のローカル・イノベーターズ・フォーラム2016では、14のテーマに分かれローカル・イノベーション戦略会議を行いました。
ここでは、戦略会議の内容を簡単にまとめた瓦版を順次掲載していきます。
地域の経営資源を最大化させる〜ローカル発のナレッジを日本・世界に展開する
ローカル・イノベーターズ・フォーラム瓦版第6号
>(クリックでPDFを表示)瓦版第1号「地域の経営資源を最大化させる〜ローカル発のナレッジを日本・世界に展開する」
登壇者
島田昌幸氏(株式会社ファミリア代表取締役、宮城県七ヶ浜町)
牧大介氏(株式会社森の学校ホールディングス代表取締役、岡山県西粟倉村)
ファシリテーター
宮城治男(NPO法人ETIC.代表理事、東京都)
プレゼンテーション概要
島田:「あらゆる人々が集まる場」として、ATARATA(アタラタ)を運営。6社の協働で町内会の運営まで行ない、地域住民と生産者、障がい者たちを結びつけて活動を展開。企業や他地域の団体、観光客の注目を集め、参加(来訪)してもらうことも念頭に活動。テーマは職と豊かな暮らしの創造。デザインやコミュニケーションを大事にしている。農家の方を美しく想像してもらうためのベジタブルギャラリー、内装やデザイン、接客すべてを変えることでイメージを変える。デザインやビジョンを体現することでできることがある。県内初の海の駅もオープンさせた。
牧:2008 年に「100 年の森林構想」を旗揚げ。役場がこの構想を総当たりでやると判断。地権者がばらばらなのを地道に交渉。いったん役場であずかることで事業を可能に。事業会社「西粟倉・森の学校」で加工所を数億円かけ立ち上げ、加工も村内で行なう。西粟倉ローカルベンチャースクールを立ち上げ、互いの可能性を引き出し合う場をつくっている。この7~8年で、100 人以上の移住者。小さなローカルベンチャーが15 社できて、売上が8億円。そのうち、7億円が林業事業。雇用も117 人増えた。村の産業構造が変わり、途絶えていた林業に就職する若者も生まれ、地域の平均年齢も下がっている。
ディスカッションより
・このお二人はただの商売人ではない。地域の人たちとつながりながら一緒に価値を作っている。町の仕事をつくだけでなく、仕事の基盤をつくり、町の成り立ちを変えてしまうような。(宮城)
・名取のアタラタは、関係性がのっている。飲食店にもいろんなストーリーがある。蕎麦農家がきたり、障がい者を雇っていたり、なんとなく気づかれる。結果的に応援したくなる。(島田)
ハードは負のイメージを払しょくできる。デザインを福祉にあてがったことで、イメージが変わった。(島田)
・動物的勘が重要だったり、都市圏との按配、戦略的に勝てるイメージが持てるかどうか。持てなかったらやらない。(島田)
・合意形成はしない。構造から変革することは痛みも伴う。だから合意にもとづく変革はできない。(牧)
・毎年何人か起業したいという子がいるけど、自分が幸せになる覚悟がないと、いきなり地域の人にというのは……地域のためにとにかく何かやろうという覚悟をもってほしい。(牧)
・商品もサービスも人が来てなんぼ。それを赤字と呼ぶか、プロモーションと呼ぶかの違い。食材購入費もプロモーション費として積む。お客さんは自分である。自分だったらほんとに行くか、心揺さぶられるか、買おうと思うかを考える。(島田)
・お皿に載せる野菜をつくるだけじゃなく、お皿に乗る料理もやるし、そのお皿も開発していきたい。そのお皿を彩る照明までも開発していきたい。お皿に乗る料理を彩るための価値創造をしていく。(島田)
・今やっているのは林業以外の養殖や一次産業の横のつながりを取り戻し、地域内循環を太くしていくこと。それができたらパーツごとにいろいろな地域に出していけるのではないか。(牧)
・西粟倉での示唆的なことがあるとすると、どんな状態であってもなにか価値がある。商品にしうる価値のあるものを、諦めずに増やしていく人がいれば何かが生まれる。(牧)